こんにちは、日本語教師の手塚です。どきどきの初ブログ記事です!
さて、今日は日本語教育能力試験の結果が返ってきた日です。日本語教育能力試験は、日本語教師の登竜門のような試験です。民間資格とはいえ、合格したら「日本語教師です!」と堂々と名乗れると感じる方も多いのではないでしょうか。
ただ、今回の記事は、特に今年の試験に不合格だった人に向けて書いています。きっと今後1年間、どういう身の振り方をすればいいのか、迷っておられることでしょう。 でも、不合格だったあなたも、日本語教師をあきらめるのはまだ早いかもしれません! 現役日本語教師から伝えたいメッセージをまとめました。
日本語教師の道が閉ざされたわけではない

試験に落ちてしまったけど、今すぐにでも働きたいんです…
日本語教育能力試験に合格しなかったから、日本語教師になれない。そう誤解する方も多いこの試験。そんなことはありません。実際、3年間働いていた学校では、30人ほどの日本語教師の中で、日本語教育能力試験に合格していたのは3分の1程度でした。つまり、日本語教師の他の資格を満たしていれば、「日本語教育能力試験」を持っていなくても、働けるのです。
- 「日本語教育能力検定試験」に合格する
- 学士の学位をもち、文化庁認定の「日本語教師養成講座(420時間)」を修了する
- 大学または大学院で日本語教育に関する主専攻プログラムか副専攻プログラムのいずれかを修了する
以上のうち、どれか1つを満たしていたら、「日本語教師」として働くことは可能です。
日本語教師になるには?仕事内容や働く魅力・目指す方法まで詳しく解説|コラム|日本語教師養成|資格取得なら生涯学習のユーキャン (u-can.co.jp)
ですから、今年日本語教育能力試験に合格しなかったとしても、求人情報はチェックし続けることをおすすめします。
気になる求人があれば、誰を対象にして、どのレベルの学習者に、どんな教科書で教えているのか、チェックしておきましょう。養成講座で学んだことや、自分のキャリアが生かせるか、よく考えた上で、「ぜひここで教えたい!」と思う学校があれば、気後れせずに、まずは応募してみることも大切です。

一度試験に落ちると、自信がなくなっちゃいますよね。でも、「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」。 撃たないことには、当たりません。
もし、書類選考で落とされたら、縁がなかったということです。模擬授業まで進んで落とされたら、どこが悪かったのか、ベテランの先生が必ずフィードバックしてくださるはずです。諦めずに、求人をチェックし続け、働く場を探していきましょう。
日本語教師 +α を身につける時間ができたと考えよう

来年、試験に再チャレンジします。でも、これからの一年、どうやって過ごしていこうか迷います…。
これからの時代、日本語教師として働こうと思う際、必ず必要になる能力があります。それは、「パソコンが使える」ことです。「使える」といっても、プログラミングのような大それた能力は、もちろん求められていません。かといって、電源を入れてあとはメールを打つだけ、というのでは厳しいです。
・Word・Excel・PowerPointで、新しい文書を作成し、修正し、添付し、印刷し、授業で使える。
・ZoomやSkypeなど、オンライン授業で利用するツールがスムーズに使える。
・Google classroom, Spreadsheet, Slide, documentの作成や編集ができる。
もし来年、日本語教育能力試験に合格しても、上記のことが最低1つはできなければ、日本語教師として食べていくのは難しいでしょう。
コロナ禍以前は、まだパソコンを使えない先生方が多くいらっしゃいました。絵カード、印刷プリント、手書きの板書などをお使いになりながら、上手に教えておられました。
ただ、やはり2020年から、全面的にオンラインに移行する学校が増えてきました。業務の報告や、授業で見せるスライド、板書などが、すべてオンラインで行われています。一度IT化されたものを、元に戻すのは厳しいでしょう。たとえ、長年の経験と教育のスキルがあっても、最低限のパソコンの操作ができなければ、働く場が狭まってしまう可能性さえあります。
もし、来年の試験に合格してから働くと決めたのであれば、この1年を有効に活用してください。今年合格した人よりも、もっともっといろいろなスキルを身につけて、現場の即戦力として活躍できる日本語教師を目指してください。

未来の自分への、投資の時間です。日本語教師という仕事は、おもしろいもので、どんなスキルも必ず現場で活きるときが来ます。もし、私がいま時間があれば、こんなことをやりたいです。
・着物の着付けの練習
・歌や楽器の練習
・英語以外の言語の習得
・日本語教材を自分で作ってみる
・ボランティア日本語教室に参加する
来年の日本語教育能力試験のために文章力を磨こう

来年こそは、日本語教育能力試験に受かりたいって思うようになってきました!
日本語教育能力試験の問題は、小論文形式で問われます。どんなに完璧に用語を覚え、聴解が聞けるようになっても、小論文で失敗すると、来年もまた試験に合格するのは難しいです。
Webライターのお仕事をしていた時、「文章力は筋肉と同じだ」と言われました。腕立て伏せができない人は、いきなりベンチプレスをあげられませんよね。でも、毎日トレーニングすれば、筋肉がついてきて、いつか自分の体重の何倍もの重さを持ち上げられるようになるのではないでしょうか。
文章力も同じです。100文字の文章を書くのも苦労する人が、いきなり小論文をスムーズに書けるとは考え難いです。ぜひ、今から1年間、文章力を磨くトレーニングをしてください。最初は1日5分、短い文章から始めましょう。例えば、5行日記を書くとか、ニュースを見て感想をメモするとか、「簡単すぎる」と思うことでないと、人間、長続きしません。書くことに慣れてきて、習慣づいてきたら徐々に長い文章にトライしてみましょう。
1日5分を続ければ、きっと、来年の日本語教育能力試験では、書くことが苦じゃなくなっているはずです。

ここで大切なのは、「自己流でやらない」ということです。読みやすい文章、伝わりやすい文章、小論文で高い点数を取れる文章には、必ず「型」があります。その型に慣れれば、あとは内容を当てはめるだけなので、楽に書けるようになり、来年の試験の本番でも合格できることでしょう!
本当に日本語教師になりたいのか考えるきっかけになる

すごく落ち込んじゃって、もう何のやる気もでないんです…。
この試験のために、万全の準備を整えて、必死に勉強してきたのに、落ちてしまった。そんな方もいることでしょう。日本語教師になりたいという熱意が、薄れているのを感じるかもしれません。
この機に、「自分が本当になりたかった自分」を、見つめ直してみるのはいかがでしょうか。日本語教師を目指しはじめたきっかけは、なんでしたか。外国人と接したくてこの仕事を選んだなら、他の道はないでしょうか。英語を使いたいなら、異業種で活躍することはできないでしょうか。定年後のキャリアを活かすためなら、日本人の若者に目を向けるのはいかがでしょうか。
温かいお茶を飲みながら、ゆっくり、時間をとって、自分と向き合ってみてください。「やはり日本語教師以外に、自分の夢をかなえる手段はない」と思うなら、突き進めば必ず道は開けます。
一方で、「日本語教師になるのは今じゃない」という結論に至るかもしれません。その決断はつらく、重いものでしょう。 しかし、多様性の時代、外国人労働者数が今後も増え続ける日本社会にあって、学んだことは決して無駄にはなりません。いつか、絶対にこの経験が活きるときが来るはずです。日本語教師を、今はいったんあきらめるとしても、それは「回り道」です。それでいいんです。一度限りの人生、悔いのないように生きていきましょう。
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